大原瞠(みはる)『住みたいまちランキングの罠』(光文社新書)

フツーの良い人たちが持っている、作られたイメージを打ち砕く良書かも知れない。ガラの悪いところは(例えばヤンキーの多いとされる足立区)、ガラの悪くないところ(皆が住みたがる吉祥寺、武蔵野市)にくらべ犯罪率が高いなどとは決して言えないのだ、と言う。また、幼児医療費がただだから、住みやすい街だと言っていいのか。それには、悪賢い行政のからくりがある。認可外保育所(無認可とは言わない)の実態についても、リアルだ。迷惑施設のある街の住みやすさ、と「鎌倉に住むこと」の不便(人出と渋滞で交通はすぐに麻痺する)についても面白い。成城を冠した物件の異常な広がりは、何を意味するのか。仙川に住んでいるのを、成城だと言うのは何か卑しくないか。