『聖書』

1977年に、「現在、もっとも過大評価されている本、もっとも過小評価されている本」というアンケート特集をTSLはおこなった。ロラン・バルトは、過大評価はアンドレ・マルローで(前世紀におけるヴィクトル・ユーゴーと同じ)、過小評価はレイモン・クノーだと、まじめに答えている。ついでに言うと、バルトの自死はこのアンケートの二年後、1979年だ。傑作なのは、ボブ・ディランで、過大評価も過小評価も『聖書』だという。ディランにはそう言ってよい『聖書』読みの側面があると思う。(TSL“タイムズ文芸付録”、2017年12月8日号のReputation revisitedより)。