キルケゴール『死にいたる病』(斎藤信治訳、岩波文庫)

「この病は死にいたらず」(ヨハネ福音書)、しかし、ラザロは死んだ。死にいたる病とは、絶望のことである。・・・このような『聖書』についての解釈がつづくなら、この本はもっと面白い。だが、あとは「絶望」についての哲学的思弁が繰り返される。絶望を感得する精神は、最終的に自己の自己に対する関係である、と。