2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

藤澤清造『根津権現裏』(新潮文庫、原著1932年刊)を読む

『根津権現裏』を読み始める。面白い。このような私小説を読んでいると、私小説だけを読んでいたい、という気持ちになる(ゼーバルトの一人の感覚も悪くなかったが…)。もっと陰惨なものかと思っていたが、ある種、明るくすっこ抜けたところがある。 貧しい上…

ケン・ローチ監督の映画“家族を想うとき”を見る!

今評判になっている“家族を想うとき(Sorry We Missed You)、2017年”は、まったく首肯できない映画だった。映画監督の巧みさはある。魅力的な俳優を使い(特に母親役が、どこにでもいそうな普通の人でありながら不思議と魅力的だ)、観客が感情移入しやすいよう…

スーザン・ソンタグの伝記が出たらしい!

“ロンドン書評”(LRB、2019年10月24日号)で、スーザン・ソンタグの伝記 (Sontag: Her Life by BenjaminMoser)に関する書評 (James Wolcott筆)を読む。この伝記は、ソンタグの文学性、書いた文章への言及よりも、彼女の政治性-“パーチザンレヴュー”のスター、…

ドラクロワの“ライオン狩り”

“ロンドン書評”(LRB、2019年10月10日号)で、ドラクロワの“ライオン狩り”についてのエッセイを読んでいる。面白い。暴力とは何か、と問いかけてくる。ドラクロワは、暴力の美のすぐ傍らにいる、と。絵画の血の色彩は、怖れよりも、人を魅了する。人間存在と社…

エズラ・パウンドをめぐる二人の個性による往復書簡集; オーガスト・クレインザーラー(August Kleinzahler)

“ロンドン書評”(LRB、2019年10月10日号)で、エズラ・パウンドとモダニズムをめぐるエッセイを読む。モダニズムとパウンドにおける反ユダヤ主義の結びつきについて考えさせられた。また、文章が非常に洒脱で読ませる(語学力のみならず教養のレベルで半分も理解…

東浦奈良男『信念/一万日連続登山への挑戦』(山と渓谷社、2011年)を読み進む。

写真がいい。東浦氏の登山生活のスタイルが分かる。山登り道具は大方が廃品利用なのだ。それは、必要性なのか思想なのか。ホームレスとも見間違えるその装束に恥じない心が羨ましい。が、座右の銘は『徒然草』の兼好の言葉「一事を成さんと思はば、他の事の…