ハイデガー『ヒューマニズムについて』(渡邊二郎訳、筑摩学芸文庫)

行為について、これまで徹底的に考察されたことはない。ただ、行為の結果が議論されてきたにすぎない。そうではなく、行為が存在の根本条件だと気付かねばならないのだ。存在にとっての行為の意味があきらかになれば、人間性の本質がもうすぐのところに近づいて見えてくるはずだ。つまり、人間性とは、行為によって根本的に条件づけられた存在の核心を呼んでいる。