ドラクロワの“ライオン狩り”

“ロンドン書評”(LRB、2019年10月10日号)で、ドラクロワの“ライオン狩り”についてのエッセイを読んでいる。面白い。暴力とは何か、と問いかけてくる。ドラクロワは、暴力の美のすぐ傍らにいる、と。絵画の血の色彩は、怖れよりも、人を魅了する。人間存在と社会の根元に、「犠牲」(サクリファイス)というからくりが組み込まれている。“ライオン狩り”に比べれば、“サルダナパールの死”などは、若い画家のファンタジー(幻影)に過ぎない。…ドラクロワにおけるぎゅうぎゅう詰めの構図とは何なのか。ある種の強制を表現している。あるいは、権力との関係、ないしは怖れを表現しているのかも知れない。ドラクロワの絵画を実物で見たくなってきた。